マウスピース矯正の基礎知識とよくある質問
歯科矯正治療法の主な矯正治療法は、マウスピース矯正の他には何がありますか?
歯科矯正治療法の主な矯正治療法は4つあります。
①マルチブラケット法
現在主流の矯正法。ブラケットを歯に取り付け、そこにワイヤを装着しワイヤの弾性を利用して歯の移動を行う方法。
②床矯正法
床部と金属線部で構成されている可撤式装置を用いて行う矯正法。
③機能的矯正法
可動性で舌や口腔周囲筋によって自由に移動し、筋活動刺激より生じた力装置を介して歯、歯周組織または顎に加わることにより不正咬合が矯正される方法。
④マウスピース矯正法
PET-G製シートで作成された矯正用マウスピースを使用して矯正治療を行う方法。
マウスピース矯正での1日のマウスピースの使用時間は何時間以上つける必要がありますか?
マウスピース矯正での1日にのマウスピースの装着時間は22時間以上つける必要があります。
マウスピースは基本的には食事中ははずします。
1日3回の食事をする時だけはずして、食事のあとに、歯磨きをして、マウスピースを装着します。
1日3回の食事以外に間食を何回もする習慣がある人は、矯正治療中は間食を控える必要があります。
どの患者さんも、「マウスピース矯正を始めてから間食をしなくなった」と言われます。
例外として、マウスピースをつけたまま食事することをお願いする場合があります。
その場合は、食事の後にすぐ歯とマウスピースを磨いてから装着します。
マウスピース矯正では、歯の移動に一番効果のでるゴールデンタイムがあります。いつでしょうか?
マウスピース矯正で、歯の移動に一番効果のでるゴールデンタイムは夜です。
マウスピースの連続装着時間が10時間以上の長時間であればあるほど効果が出やすいです。
例えば夕食を7時までに食べ始めて、歯を磨いて夜8時にマウスピースを装着します。
朝の6時まで装着して、朝食を食べるときにマウスピースをはずします。
これで連続10時間の装着をすることができます。
生活リズムが不規則な方や、仕事の都合で夕食が遅い方は、マウスピース矯正の連続装着時間が短くなります。
マウスピース矯正を希望しているのですが、1日に数回カフェに行ったり、テイクアウトした飲み物を飲みながら仕事をすることが多いです。
そのたびに歯磨きをすれば大丈夫ですか?
矯正用マウスピースを1~2時間に一度の頻度で毎回5分くらい外した場合、連続使用時間が途切れるので治療効果が出にくく、治療効率も悪くなります。
マウスピースをはずす回数が多いと、まだ歯磨きができていないから後で装着しようと、マウスピースの装着を後回しにしてしまうことが多くなります。
間食の回数を減らせない場合や、装着時間を守れなかった場合は、マウスピースの歯を移動しようとする動きと、実際の歯の動きに差がでてしまいます。
予定通りに歯が動いていない場合は、追加のマウスピース作成費用がかかり、治療期間も延びてしまいます。
どうしても仕事の都合上、間食が多い人は、矯正器具の取り外しができないマルチブラケット法など、マウスピース矯正治療以外の方法をおススメする場合もあります。
マウスピース装着時に40度を超えるお茶類を飲むことは治療に問題を起こしますか?
マウスピースはペットボトルと同じ素材でできているため、装着したまま温度の高いものを飲むと変形が生じる恐れがあります。
変形したマウスピースを装着すると歯の移動に問題を起こす可能があります。
人肌を目安に38度以下の温度の水分をとるようにしましょう。
コーヒーや紅茶など、お茶の種類によってはマウスピースを装着したまま飲むと歯に茶渋が残りやすくなります。
糖類の多いスポーツドリンクやフルーツジュースなども、装着したまま飲むと虫歯の原因になります。
そのような飲み物は食事の時に一緒に飲むように心がけて歯磨きをしてからマウスピースをしましょう。
食事と食事の間は、水だけを飲むようにするとマウスピースを装着したまま飲めるので安心です。
マウスピース矯正中に、口の周りの筋肉をリラックスするには具体的にはどのようにすればいいですか?
上下の歯にマウスピースを装着した時、マウスピースの厚さ約2mmの分だけ歯と歯の間に隙間ができます。
そのとき、上唇と下唇の間も、歯と同じように常に2mmの空間があるように2mm離すことを意識します。
口の周りの筋肉が緊張している人は、唇を常に閉じている癖がありますが、
上唇と下唇を常に2mm離す練習をして、習慣的にリラックスした状態を維持できるようにしましょう。
唇の上下方向のリラックスだけではなく、左右の方向のリラックスも重要です。
歯並びが悪い人は、会話の時や何気ない時に、無意識に唇をすぼめる動きをしていることが多いです。
会話をする時は、意識的に左右の口角を横に広げるように会話をしましょう。
頬杖をする癖や、うつ伏せで寝る癖があるのですが、マウスピース矯正中は問題ないですか?
頬杖は、歯およびその周囲の歯槽骨に力を加えることが歯を動かす力となるので止めましょう。
うつ伏せ寝の状態は顔面および歯や歯の周りの骨である歯槽骨に力がかかる姿勢です。
矯正治療での歯の動きを抑制する働きをします。止めましょう。
横向きでいつも同じ方向で寝ている人は、その向きが歯並びに影響している可能性もあります。
人によっては、枕の高さの変化で食いしばりがおこる場合もあります。
治療中だけでなく、治療終了後も、歯はこれらの癖の影響を受け続けます。
治療を始めた後で、正しい顎の位置が分かることで、快適な睡眠環境が変化する場合もあります。
現在の自分の癖を確認し、治療中や治療後までも含めて、ご自身にとって心地の良い環境を見直してみてください。
マウスピース矯正が終了すれば歯並びは永久に整った状態を維持しますか?
歯は周囲の諸々の筋肉からの力を常に受けています。
例えば、唇の周りの筋肉や、顎を動かす筋肉の力は、歯を常に動かします。
また、歯の萌出力は常に作動していますのでその力によっても歯は動きます。
治療後も、歯は永久に動くことをわかって矯正治療を受けてください。
治療終了後に、歯を動かさないためのマウスピースを作成し、 歯並びの維持を目的としたメンテナンスを継続することをおススメしています。
矯正治療をしてよく噛めるようになったから、よく噛まずになんでも食べていいというものではなく、 せっかく良くなった歯並びや口の周りの筋肉の癖を維持し続けられるように、ご自身で心がける必要があります。